緑と水の豊かな渓谷を
ノスタルジックな馬車で巡る。

ワイピオ渓谷&ミュールワゴンツアー

 大型バスも停められるパーキングがあるルック・アウトからこの絶景を見渡せます。山から流れる水が地を削り、海に向かって大きな扇形に広がった谷。切り立った断崖は、およそ300m。なんと東京タワーに匹敵するほどの高さです。ちなみに、目の前の浜辺が、全米一長い黒砂海岸。海亀で知られる島の南のプナルウではありません。日本人は亀好きで南に行くようですが、No.1好きのアメリカ人はこぞってここを訪れます。

水も滴るいい男…ではありませんが、ワイピオの魅力は「水」。
雄々しく力強いハワイ島の既存イメージを180度変えるくらい、
潤いのあるしっとりした美しさに満ちた渓谷です。
ハワイ通でさえ「カウアイ島のような場所がこの島にあったなんて」と、感動のため息をつくほど。
この緑豊かな渓谷を、ゆっくり堪能できるツアーが、馬に引かれるのどかなワゴンツアー。
正確には馬とロバのミックスである性格の優しいミュール(ラバ)がけん引し、
かつてハワイの王族が住んだ聖なる谷を巡ります。
晴れた日もいいのですが、そぼ降る雨の日も最高!
「水も滴る…」ように濡れた魅力が、大人のハートをつかみます。

展望台から見下ろすだけでなく、ここまで来たら、聖なる谷の豊潤美を谷底で堪能すべきです。弊誌イチ押しのワイピオ満喫ツアーが、「ミュールワゴンツアー」。カップルでも子供や年配者がいる三世代旅行でも楽しめる、のんびり型。谷底まではツアーの車で降りてきて馬車に乗り換えます。

自然と共生したハワイアンの
暮らしが今も息づく渓谷を
かわいい馬車でゆったりと。

崖の間に扇形に広がる土地はかつて“アフプアア”と呼ばれ、族長のもと、自然と共生する生活の場となりました。

ハワイにいくつもあるアフプアアの中でも最も肥沃とされたのがワイピオ渓谷。ちなみに、ワイは「水」、ピオが「曲がりくねる」という意味。

通常、山に降った水は1本の滝や川でそのまま海に流れ出ることが多いのですが、ワイピオは5本の川が曲がりくねりながら最終的に合わさって出たことで、大きくて水が豊かな豊穣の土地となり、タロ芋もよく育つ、生活力と生産力がある優れた渓谷だったわけです。

山側では飼育する豚がよく育ち、中腹にはタロ畑が広がり、海際には生簀を造り漁師が釣ったらそこへ…。

長の統制のもととても賢く秩序ある分業と共生が、図られていたのです。ツアーではそんなストーリーも解説。ワゴンから流れる小川を見つつ、いにしえに想いを馳せる瞬間です。

崖上から谷底へ至る道は怖いくらいの急勾配。自分たちではとても手に負えないような細いオフロードを、ツアードライバーの方がクイクイッと車を運転して下へ。待機するノスタルジックな可愛い馬車に乗り換えて、エコなドライブは始まります。のどか…だけでなく、途中、川に入って浅瀬を渡る時はスリル感も存分に楽しめます。
左:ハワイ州の中でも「最もおいしいタロ芋が育つ場所」ともいわれているワイピオ渓谷。渓谷内のあちこちにタロ芋畑が広がっています。タロ芋は陸地でも育ちますが、このように水田耕作で作られたほうが、味が柔らかくてとてもおいしいのだとか。右:谷底には野生の馬が100頭もいるそうで、住んでいる人間の数よりも多く、まるでハワイアンの原風景を思わせます。その昔、田畑を耕すだけでなく、作物や荷物を崖の上まで運ぶには必要不可欠だった存在。明治時代以降、日本人も移民でここに住んだので、彼らの残した馬もいるようです。
電気もガスも水道も通っていない谷底には、現在も70~80名ほどが暮らしています。豊かな土壌でタロ芋などの作物を育てたり、魚を獲ったりと、昔ながらのハワイアンの生活が今も営まれているのです。

伝説の滝が流れ、
マナが宿る神聖な谷には
古代さながらの風景が。

谷底に降りないと目にすることができないヒイラヴェの滝。全長400m近くの見事な滝です。フラで使われる曲に、この滝が出てくるということで、ヒイラヴェの滝を見る目的でワイピオを訪れるフラ愛好者も多いのだとか。

古くから王族が住んだ由緒ある谷は、強いマナが宿る神聖な場所で渓谷全体がパワースポットといわれています。

その謂れのひとつが1946年に起きたアリューシャン地震の時の津波。ヒロの街をはじめ、甚大な被害と160名以上の死者も出ましたが、ワイピオだけは誰一人として命を落とさなかったのだとか。

当時は、明治以降に移民で渡ってきた日本人も多く住んでいて、人口は一時、3000人にもなっていたとか。日本人学校もお寺も教会もあって、タロ芋だけでなくお米も育てていたのです。

彼らの命も守ってくれた聖なる谷…、そんな語りをガイドから聞きながらふと見ると、マナのパワーのせいなのか、この谷に咲く花々や植物はどれも瑞々しくて潤いに満ちていました。石苔までもがとても美しい。この谷を訪れるとあなたにもマナの恩恵があるかもしれません。

左:ハイビスカスにも様々な種類がありますが、そのうちの1つのスリーピング・ハイビスカス(眠れるハイビスカス)。花はずっとつぼみのままで開くことはなく、成長するにしたがって、だんだん下向きになっていきます。右:ワイピオコーヒーは、住民の方が自分たちで楽しむために栽培しているものです。

左:こちらはワイルドピカケ。他にも野生のホワイトジンジャーやマンゴーの木、ノニの木などが生えていて、手つかずの自然の中で育つ植物本来の姿を見られます。ミュールワゴンツアーでは一つひとつ説明しながら回ってくれます。右:湧き水が多く、川や滝などがたくさん流れている谷底なので、至る所でこのような苔むした様子が見られます。しっとりした空気に包まれたこの谷は、マイナスイオンをたっぷりと浴びて心も体も自然に浸れる、そんな場所なのです。

渓谷を取り囲む崖からは、いくつもの滝が山肌を流れ落ちています。晴れている日はもちろんいいのですが、このように少し霧雨が降っていても、落ち着いた趣のある景色を満喫できます。
日本語ガイドと行く!ワイピオ渓谷ミュールワゴンツアー

所要時間約6~9時間 
料金大人(12歳以上)$195(2019年4月以降は$205)、子供(0歳~11歳)$150
行程宿泊ホテルへ迎えワゴンツアーチェックイン4WDの車に乗り換えワイピオ渓谷内へ出発渓谷内で馬車に乗り込み、ミュールワゴンで散策ワゴンツアー終了後、チェックインオフィスへ戻り休憩ホテルへ戻る途中、ワイメア・ショッピングセンターで買い物宿泊ホテルへ帰着

現地ほろほろあいらんどツアーズ
HP/holoholoisland.com
予約・お問い合わせ「大人のハワイ」カスタマーサービス係
電話/03-6450-7207
受付時間/13時~19時(土曜・日曜・祝日は除く)
HP/otonano-hawaii.com